当研究室は、2004年度に新設されました。薬学部という環境にあって専門分野が バイオインフォマティクスであるというのは、全国でも類を見ない試みです。有機合成や生化学の生物的な実験をしない「ドライ」な研究室です。ピペットや試験管などの実験器具の代りにコンピュータを駆使して生命現象の解明を行い、創薬や予防に貢献することが大きな目標です。このように、いわばコンピュータ内で生物的実験をすることをin silico(インシリコ)といいます。この研究室は、薬学を念頭において in silico biologyを創造しようとしているのです。薬学部では、当研究室の創立にともない「創薬情報科学センター」も活動を開始しました。当研究室は、創薬情報科学センターの運用も担当しています。
宮崎 智
東京理科大学 薬学部 生命創薬科学科 教授
専門分野
バイオインフォマティクス、情報理論
研究分野
分子進化解析、ゲノム解析、統合データベースシステムなど
ゲノム(その生物の構成に必要な遺伝情報の一式)情報の登場によって、生化学、分子生物学および創薬そして疾病予防の研究は大きく変わろうとしています。ゲノム情報を有効に使うことによって、効率のよい実験系が構築できます。これまでは、部分的にしか把握できなかった遺伝子の全体像もわかりかけています。当研究室では、バイオインフォマティクスを使いこなせる人材を育成するとともに、バイオインフォマティクスを軸にしたゲノム・遺伝子解析をとおして、創薬に貢献できるもっと新しい分野「ファーマコインフォマティクス」の創造を目指しています。
この研究室は「創薬情報科学センター」に隣接しており、センター内のコンピュータを活用して特徴的な成果をあげることが期待されています。センターには、10テラバイト(10000ギガバイト)容量のハードディスクをもつデータサーバと複数台の高性能PCサーバを配備しています。また計算科学フロンティア研究センターにある128CPUの大規模計算サーバと1ギガビット/秒の転送スピードでネットワーク接続されています。